3.ぷっちんプリン
放課後、生徒会室にやってきた泰が手に持っていたのはあの有名な『ぷっちんプリン』だった。
こんな事やるのは子供だけかと思っていたんだけどなぁ……。
「ぷっちんプリンをぷっちんしよーっと!」
泰が奥からお皿を持ってくる。
「あのさ、泰。俺、普通に食べたいんだけど?」
「え?これ普通でしょ?僕、家でいつもやってるよ?」
泰の家庭環境って……って思ったけど今は考えるのを止めた。
そんな俺をよそに、泰は自分のプリンの底にある突起をペキっと折って皿の上にプリンの容器を置いた。
普通はこのままにしておくと容器から徐々にプリンがお皿に乗る――はずだけど、プリンが皿の上に乗らない。
あれ〜?なんて言いながら泰は容器を持って振ってみるけど、プリンは容器から離れること無く皿の上に乗らなかった。
すると段々泰もムキになってきて、おもいっきし容器を振り始める。
「むぅー……お皿にのらないー……!」
……必死で容器を振ってる泰の姿が可愛いって思っちゃう俺って、やっぱ重症なのかもしれない。
「泰、そんなに容器を振ってるとさぁー」
「なぁに?……って、……あ!!」
「あーあ、言わんこっちゃねぇ」
容器から離れたプリンが着地した場所は皿ではなく少し離れた所へ。
「うぅ……プリンがぁー……」
今にも泰は泣きそうな顔をして俺を見る。
結局この後は、俺の分を泰に渡して慰めなきゃいけなくなるんだよなぁ。
……まぁ、いつものことだけど。
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