4.日常茶飯事
私は皇城学園の食堂で働いています。
食堂といっても構内食堂や一般寮ではなく“生徒会役員寮”の食堂です。
ここで朝食・夕食を食べるのは9名の方々。
本当に皆さん個性的で、毎日見てても飽きません。
中でも、私が一番目に入るのはこの2人。
「泰、プチトマトぐらいちゃんと食べろよ」
「やだぁ…トマト嫌いぃぃいぃー……」
緑目・緑髪の生徒会長、泰ちゃんと、橙目・橙髪の副会長、瞑君です。
聞くところによると、2人と、もう一人の副会長の恵君の3人は幼等部からの幼馴染みなんだそうです。
「あ、そだ。泰、目つぶって口開けてみ?」
「ん?……こう?」
目を閉じて口をあけた泰ちゃんに瞑君は泰ちゃんの鼻を摘むと、口の中に小さいプチトマトを放り込みました。
うわ、えげつない……。
私も同じくトマトが苦手なので、彼女が泣きそうな顔で一生懸命噛んで食べてる姿はとても共感できます。
全国のトマト大好きさんには申し訳ないですが、アレは食べ物じゃありません。
二人はいつもこうです。
瞑君は泰ちゃんの嫌いな食べ物が出ると、いつもこうやるんです。
その度に、泰ちゃんは何度も同じ手に引っかかるんです。
瞑君曰く、少しでも泰ちゃんの好き嫌いを減らそうとしているらしいですよ?
そんな事聞くと瞑君にとって泰ちゃんが彼の中で大切な存在なんだって事、私にも判ります。
『実は、2日に1回ぐらいの頻度でご飯に彼女が嫌いな食べ物を料理に入れてくれって彼に言われているんですもの』
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