7.花
「すっごーい!!何これ!?」
泰は学校内なのに、いつもの『あの人格』を忘れるほどに、はしゃいでいた。
「泰さん宛ての花らしいですよ」
「……僕宛て?」
「ええ」
柏木が、いつもの様にニコニコしながら、泰と話していた。
正直、2人が話をしている姿を見るのは珍しい。
泰は……いつも瞑と一緒にいる筈なのに。
「この花、贈ってきたの恵くん?」
……なんで俺が贈らなきゃならないんだ?
「俺が贈る筈ないだろう」
全否定してみた。
「泰さん。贈り主は坂神さんですよ」
「へ……?」「え……」
泰と2人して唖然とした。
瞑が泰に花を贈るなんて誰が考える?
「僕……瞑くんにお礼言ってくる!」
部活中の瞑に会いに泰は生徒会室から出て行った。
あぁ……今日は泰の誕生日か。
本当に瞑は、本命には不器用だな、と俺はつくづく思った。
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