10.読書


今日の国語の授業は図書室で本を読む事になった。
俺は適当にその辺にある本を手にとって読んで見るけど、全然面白い本なんて無い。

試しに恵の所に行ってみると何やら小難しい本を読んでいた。

「泰は……っと」

俺は泰を探す。
泰は隅っこの机で何かの本を必死の形相で読んでいた。
向かい側の席に座って俺は泰の様子を見てみる。

真剣な表情をしたと思えば笑顔になったり、
その笑顔が段々と暗くなっていったり。

やべぇ……見てるだけで楽しい。

んで、最後は泣きそうな顔をしながら本を閉じた。


「なぁに泣きそうな面してんだよ」
「この本ねすっごく感動したの!瞑くんも読んでみて!ね!ね!!」
「はぁ!?」

そして泰から無理やり押し付けられた本。

しかも丁度いいタイミングで授業終了のチャイムが鳴って、
俺の名前で本の貸し出し届を泰が勝手に出してしまって、
今その本は、寮の俺の部屋にある。

「……ったく」

題名を見るだけでもげんなりしそうになる。

「こってこての恋愛小説だけど、たまにはいいか……」


暇だし、すること無いから俺はその本を読む事にした。



……

…………

…………やばい



「これ泣きそ……」


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