11.雨


今日は雨が降っている。
そんな下校風景。

「いいかげん雨やんでよぉー……」

ジメジメとした空気が僕は嫌いだし、何よりも気に入っているこの制服が濡れるのが嫌なんだもん。

「雨のカミサマにでも頼めば?」
「雨の神様ぁ〜……雨を降らせるのやめてくださいー……」
「うわ……本当にカミサマに頼みやがった」

瞑くんのいう『雨のカミサマ』なんていないのは解ってるけど神頼みしたくなる。

「んなグダグダするなよ泰。天気予報じゃああと2日は雨が降るんだからさ。今からグダってるとあと2日保たねぇぞ?」
「雨やめー……雨やめー……雨やめー……雨やめぇー……」

呪文のように呟くと、隣にいた瞑くんはハァ……とため息をついた。

「泰、俺様が一緒にいるんだからそれでいいじゃねぇかよ」
「うぅ……それはそれで楽しいんだけどぉー……」

そう言いながら瞑くんを見ると、瞑くんはポケットからタバコを取り出して吸おうとしてる所で……

「瞑くん、未成年がタバコ吸っちゃいけないんだよ」
「知ってるよ。いーんだよ、俺様だから。それより一緒に帰ろうぜ?」

――雨の中、僕と瞑くんは寮まで一緒に帰っている。
瞑くんは尽きない話を僕に話しかけてくれて僕は面白くて笑いが止まらない。

だから瞑くんと一緒に帰ってると、雨なんてどうでもいいと思っちゃうのは
……なんでだろ?








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