14.雷



夜降りだした雨は、かなり強かった。
泰は消灯時間まで俺の部屋(っつても泰の部屋の隣だけど)に遊びに来ていた。

「雨すごいねぇー」

一緒にゲームをしながら泰は呟く。
今日のゲームも泰の圧勝の様だ。

「あー……これじゃ雷が鳴るのも時間の問題だな」
「か……雷!?」

みるみる泰の顔が青ざめていく。

泰は昔から雷が苦手だ。
それを知ってるから、だから俺は今ワザと言ってみたんだけど。

「怖いのか?」

ニヤニヤしながら俺は泰に言う。

「こ……っ怖くないもん!絶対に怖くな……」

泰がそう言った瞬間に、ピカッと光って大きな音を立てて雷が鳴った。

「きゃぁあああああああああああああああ!」
「うぉい!?」

ぎゅっと俺にしがみつく泰。
かーなーりコレがおいしい展開だって事を思っちゃう俺は、本当、男の性だって事で。

「でっひゃひゃひゃ」
「わ……っ笑わないでよぉー!」

泰が怒ってそう言うとまた雷の光と音が部屋中に響く。
その度に、力強く泰は俺にぎゅっとしがみついてくる。

「だーいじょうぶだっつーの、ほら」
「うん……」

どさくさに紛れて俺も泰を抱きしめ返したっていうのも、
雷のなせるワザだったりして。なぁーんてな。




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