基本的に泰はからかいやすい。
だから瞑が冗談半分でいつもちょっかいだしてるのかと思えば、どうやら理由は違うらしい。
俺がそれに気づいたのがいつの頃だったのか……記憶は曖昧だ。





――それぐらい古い話。




「瞑」
「んだよ」
「殺気だってる」
「別にそんなんじゃねぇよ」

瞑は俺と顔を合わせずに呟いた。
本当に、わかりやすい奴。


瞑が向けてる視線の先、その先には泰がいて。
問題を教えて欲しいというクラスの男子と楽しく話していた。


本当に、わかりやすい嫉妬。


端から見れば誰だって気づくのに、本人は認めようとはしないし、
(いや、多分自覚はしているが認めたくないんだろうな)

……いや、泰本人は気づいてないか。
(知っていたら、こんな自殺行為はしないはずだ)


「早まるなよ」
「何が」
「いや、別に」
「意味わかんねぇ」
「それでいい」


この危なっかしくなるぐらいの恋愛感情なんか俺は多分この先一生かけても理解できそうにないが、
その内何か起こしそうな臨界点ギリギリなこのバカを見守る役割ぐらいはできると思う。



それが幼なじみというものだからな。

 







【+と−の紙一重】