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子供の頃からずっと好きだった人はたった一人だ。って言ったら誰が信じてくれるだろう? 少なからず誰も信じてはくれなさそうだ。 俺が子供の時から好きなのは、泰。 明らかに俺の理想のグラマーな彼女像とは程遠い子供体型はずなのにな~と思ってしまう。 好きになった理由なんかわからない。 わからないけど、気がついたらどんな時にもアイツの顔が頭の中に浮かんでくるからしょうがない。 俺に笑った時の顔。 俺に怒った時の顔。 俺に泣いた時の顔。 そして気がつけば、いつも、どんな時でもアイツ目で追っている自分に気づくんだ。 ―――――― あーいらつく。 今日はむしゃくしゃした。 アイツが何か困ってる事があったみてえだから「手伝おうか?」て言ったのに、 『瞑くんより、恵くんの方が頼りになるもん』って言って、あっさり恵の所へ行きやがった。 俺に頼って欲しいって気持ち、どうして理解してくれないのか。 あー……いらつく。 こういう時に女の子って便利だと思う。 電話で呼び出せば、ホイホイやって来るし。 午後からの授業サボって街で一通り遊んで、それから俺の部屋に連れてって、それから……。 まぁ何時も通りのお決まりコースって事。 ただ、ずっとこのイライラ感が収まらない事だけが何時もと違っていた。 今日のハニーには、そんな俺サマの雰囲気なんか微塵も感じさせなかったけど。 まだ余韻に浸っている彼女が俺に体を預けながら、実にどうでもいい話を始めた。 俺は適当に相槌しながら彼女の長い髪の毛をいじる。 『もしかしてコイツがアイツと同じ髪の色してるから、何か忘れられないのかな』 確かに同じ色でも、アイツはこんな髪の毛長くないじゃんって心の中で苦笑した。 すると彼女が俺にいきなり「どう思う?」と聞いてきたので、適当に返事をする。 ちゃんと話を聞いてくれた事に気分を良くしたのか、さらに楽しそうに話し始めた。 (話の内容なんてこれっぽっちも聞いてないから、内容なんて俺の知った事じゃないけど。) ふと壁にかけてある時計に目が行く。 時計の端子は夜の時間を指していた。 泰も部屋に帰ってきてるんだろうな。 そう思った瞬間、隣の部屋からガシャンっとかなり大きな音がした。 俺の部屋は角側だから音がしたといえば隣の泰の部屋しかない。 「……っ!あんの、バカ……っ!」 過去に泰は割れた皿の破片を拾って指切って病院で縫った事もあるし、熱湯がかかって火傷したこともある。 だから今度は何やったのか、と今までずっとイラついていた筈なのに一気に泰の事が心配になっている自分がいた。 結局は何があっても、俺の中はアイツ中心に動いてるんだ。 改めて実感してしまった。 俺は小さく呟いて、急いで彼女をどかして着替え始める。 さっきの音なんか気づいてないほど楽しそうに聞いていた彼女は、いきなりの俺の行動に驚いたのか俺の名前を呼んだ。 俺が「急用が出来た」と言うと大声を出して俺に不満を漏らしている。 そんな事よりも俺はアイツの事で頭が一杯で、部屋の中に彼女を置いたまま急いで部屋を出た。 Hurry! To your cause! ! (またやっちゃったよぉ……) (『今度は皿か』)