俺にとっては、久々の休日。
たまにはどこにも行かずに一日のんびり部屋の中で過ごそうと思ってきたら、幼馴染み2人組の来襲。
来襲とあれば俺がのんびり一人で過ごせるはずなんか無く、何だと思えば俺抜きで話が勝手に進み、30分後には3人で街の方へ出かけている有様だった。

(二人は時々来るみたいだが)普段、俺が寄る事は滅多にないであろうゲームセンターになぜか俺達はいた。

何だか解らないクイズゲームで1キャラに3人がかりで答えて優勝したり。
(なぜかパネルを押すのは、俺だった。)
泰はよく部屋でやっている格闘ゲームで連勝してた。確か…21連勝だったな。
(瞑が飽きたーと言わなかったら、後何回勝っていたのか…。)
極めつけには、音楽ゲームで二人はバトルで盛り上がっている。
(俺は興味がないので後ろで見ていた)

この音楽ゲームに二人は夢中になって…いや、ムキになってやっていた。
お互い負けるのが悔しいんだろう。

飲み物を買ってくる。と言って俺は二人の側を離れた。
別に二人きりにしてやろうとかそんな考えで離れた訳ではない。
何で半ば無理やりに連れ出された人間が、そんな気の利いたことが言えるなんて考えられるか。

音楽は嫌いではなかったが、ただ此処はゲーム機の音が煩過ぎて少し頭が痛い。それだけの理由だった。
よく、こんなところに普通に何時間も入れる人間がいるんだなと思いつつ、俺は飲み物を買って元の場所へ戻った。


「おまっ!ここで青ボタンは反則だろーがぁ!!」
「しらないも〜ん」

(……。)


戻ってきても、二人はさっきと、いや、それ以上に敵対心剥き出しにして戦っていた。
側を通っていた、親子連れの子供が指差してお前らを見てるぞ?

「よっしゃー!勝った!!」
「ぶぅー…最後にあのオジャマは無しだよぉ〜…」

曲が終わって、点数結果画面を見ながら二人は言う。
どうやらこの勝負、泰が負けたらしい。
凄く悔しそうな顔をしているし、反対に瞑は馬鹿にしたような顔つきで泰を見ていた。
…本当に子供だな。

「勝負決まったのか?」

「あ、お帰り〜!恵くん〜」
「いんや、あと一曲で終わり」
「今ね〜お互いに一勝一敗なの!次で必ず勝つよ〜!」
「ば〜か!俺が勝つんだっつーの!

もう一度言おう。
お前ら、本当に子供だな。

二人はあれじゃないこれじゃないと言いながらも、曲を決めたようだ。
俺は黙って、後ろから二人を見ていた。
すると聞いた事のない曲が流れ始める。
多分、このゲームでしか聞けない曲なんだろうな。

暫く画面を見ていると俺はある事に気がつく。
どうやらこのゲームには叩くと画面の何かのゲージが溜まる仕組みらしく、
青いボタンを押せばミニゲームが始まり、勝てば相手にハンデを与えられる事が出来るらしい。

どんな物なんだろうと俺は泰の方の青いボタンを押してみた。

「うげっ、なにやってんだよ!恵!!」
「別に」

画面の下の方でミニゲームが始まったらしく、ネコとウサギのキャラが野球の打ち合いを始めた。
泰の方から投げたボールが段々瞑の方へ近づいていく。
するとタイミング良く瞑が青ボタンを押して、ボールを打ち返してきた。
俺は帰ってきたボールを青ボタンを押して更に打ち返した。

「恵!俺サマ、青ボタン押す余裕ないんだけど!」

と言いながら瞑は焦りつつもボールを打ち返した。

「もう、恵ミニゲーム一人でやってくれよ!」
「…しょうがないな」
「ていうか、お前が押したんでしょーよ!!」

瞑にそう言われたので一人でボールを打ち返してみる。
ちらっと左右を見ると、二人が真剣そのものの顔でボタンを押している。
この真剣さを仕事に生かして欲しいんだが。

「あ」

冗談のような声を出した時に、打ち合っていたボールは瞑の方へ行ってしまった。
…決してわざとじゃない。…決して。

「ちょ!オジャマ俺様かよ!!!」
「へへ〜ざまぁみろ〜」
「テメェ…泰…って、うわ!なんじゃこれ!!」

オジャマの内容が酷いのか、それまでちゃんと曲になって聞こえていたものが片方だけ音がずれていく。
見ると瞑が焦ってボタンを押していた。
泰は何事も気にせず黙々とボタンを叩いている。



そのまま曲が終わり、少しして点数結果画面が現れた。





結果なんか…





言わなくてもいいだろう?