――これは、ある平凡な一日。 緑川が皆をゲームやアニメのキャラのコスプレさせて、写真を撮って何かに使ってる事は前々から十分に承知しているが。 最初の方は、漫画やアニメやゲーム云々は、泰や瞑が見てたりやっているのを無理やり一緒に見ていたので大体のキャラの名前位なら俺にも(キャラ設定云々は知らないが)何となく分かっていた。 が。 緑川は最近、訳が分からないキャラのコスプレをさせる様になった。 ますます、いや着実にコスプレジャンルがマニアックなモノに変わっていっているのは、はたして俺の気のせいだろうか…? 「ねぇ泰先輩」 「ん〜?なぁに??」 実に楽しく(仕事しないで)柏木と高橋と真夜とトランプしてた泰の元に、妙に上機嫌な緑川がやって来た。 …ちなみに言っておくが、いつもの様にちゃんと生徒会の仕事をしているのは俺だけだ。 まぁ、いつもの風景……日常だ。 「お願いがあるんですけどー」 「なになに〜??」 「聞いてくれます?」 「うん!いいよぉ〜」 「じゃあ先輩…。じゃーん!」 そう言って緑川が泰に差し出したのは大きい紙袋。 一瞬にして笑顔だった泰の顔が変わった。 …まぁ、いつもの事なら紙袋の中はコスプレ衣装なんだろう。 「先輩に物凄く似合う服作ったんですよー」 ほら言わんこっちゃ無い。 泰は慌てていた。 前回、同じように緑川に袋を渡され、軽く安請け合いしたばかりに、緑川にデジカメで色々なポーズを要望され、沢山写真を撮られていた。 ……最後、泰は怯えていたな。 そんな事を思い出していたら、泰は俺と目が合った。 激しく嫌な予感がする。 俺の考えを裏付けるかの様に泰の顔が明るくなった。 「ごめん!恵くんから用事頼まれてたのー!」 チラッと泰は俺を見た。 おい。 そこで俺を出すか。 「あぁ…。おい泰、特に用事はなくなった」 というか最初から、用事なんか無い。 泰は恵くんの裏切り者ー!!と叫びながら、少し鼻息が荒い緑川に(あの状態の緑川は何て今度から名付けようか。)引っ張られて連れて行かれた。 ……まぁ、一言だけ言葉を添えると。 ご愁傷様。泰。